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2009年3月18日

奈良の太鼓、福島の太鼓


 ここ二日ほど、北陸は恒例の「黄砂」に見舞われています。陽気に誘われてうっかり窓を開けっ放しにしたり、車を洗って濡れたままにしておこうものなら、とんでもないことになる困りものですが、春先の風物詩と思えばこれも嬉しい自然現象の一つでしょう。

 さて、先週の火曜日10日、奈良の唐招提寺で天平時代に製作された火焰太鼓と対面してきました。火焰太鼓は、通常、左方太鼓と右方太鼓で一対をなし、左方の火焰には龍が、右方の火焰には鳳凰が描かれているものですが、唐招提寺ではすでに一方を焼失し、片方だけが今に受け継がれています。ところがこの太鼓、火焰の表面には龍が、裏面には鳳凰が描かれ、片方だけで充分に用をなしているのです。当時の工人が何を思ってこのような意匠に仕上げたのかはわかりませんが、一枚板に透かし彫りの技法を凝らして表裏異なる図像を描いた彫刻技の見事さを間近に見て、あらためて天平文化の神髄にふれた心地でした。
唐招提寺正面 (兄と北川さん)
唐招提寺正面 (兄と北川さん)

 次いで春日大社を訪れ、鎌倉時代に製作された火焰太鼓を拝観。この太鼓は今から30年近く前、浅野太鼓が初めて火焰太鼓の製作を依頼された時に見本として一度拝見しているのですが、今回、新たな発見があったことに私自身が驚かされました。というのは、左方太鼓の龍の足が、表には2本、裏には4本描かれていたことに初めて気づいたからでした。30年前にも自分としては目を皿のようにして細部まで観察したつもりだったのですが、血気に逸(はや)るあまりに見落としたのか。よく「若い時には見えなかったものが歳を重ねることで見えるようになる」と言いますが、ようやく今になって私も多少は冷静にものを見られるようになってきたということでしょうか。

 その5日後の15日は、福島県の「飯坂温泉太鼓まつり」にお邪魔しました。今年で8回目となるこのイベントは、「奥州三名湯」に数えられる飯坂温泉の恒例行事となり、午前10時から午後4時までという長時間にもかかわらず、毎年地元の皆さんや観光客の皆さんがたくさん詰めかけてくださいます。今年はイベントの中心団体である「愛宕陣太鼓連風組」の結成15周年ということもあり、代表の斎藤通夫さんの「命をかけた」といわんばかりの熱演に、会場の熱気は例年以上。ゲストとして出演された島根の今福優さんも素晴らしい打ち込みを見せ、まさに「太鼓日和」の良い一日でした。どうか来年も10年先も、湯の町の太鼓を楽しみにしている皆さんのために頑張ってください。
飯坂温泉太鼓祭り 愛宕陣太鼓連響組
飯坂温泉太鼓祭り 愛宕陣太鼓連響組

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