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2011年12月27日

雪の島根で出会った絵と庭と埋没林とあたたかい人の心

足立美術館

 24日のクリスマスイブの日から、日本列島は強い寒波に覆われ、とくに日本海側では各地で吹雪や積雪に見舞われたようです。そのさなか、島根県大田市の「石見銀山天領太鼓」さんの公演「感謝絶大」に出かけました。岡山からレンタカーで中国山地を越えて米子へ向かう途中、大山山系に良いケヤキがあるという情報が入ったので楽しみにしていたのですが、蒜山に近づいたあたりから降雪が激しくなり、山に入ることを断念。ガソリンスタンドでタイヤチェーンを調達し、いっきに安来まで走って「足立美術館」に立ち寄りました。ここは横山大観作品のコレクションと広大な日本庭園の見事さで知られる美術館。大観の色鮮やかな絵画に胸を熱くし、庭園の美しさに心を洗われ、悪天候の思わぬ効用に感謝したひと時でした。

 翌日、肝心の石見銀山天領太鼓の公演は、私の大ポカで開演時刻に遅刻するという失態にもかかわらず、皆さんに快く迎えられて恐縮の至り。あらためてお詫びする次第です。それでもわずかながら垣間見た舞台は、石見銀山が世界遺産に登録されたことを記念して金子竜太郎さんが作曲した「龍の系譜」が上手にまとめられ、きれいな音を紡いでいたことに安心。また客席では思いがけずに40年来の知己である掛合町(現在は雲南市掛合町)の「掛合太鼓」を創始した景山さんとばったり。若い時分は学校で音楽の先生をしながら太鼓団体を育てた島根の太鼓の先駆者で、80歳になられた今も現役で地域の太鼓を指導されているとのこと。こうした先達の努力があってこそ今の太鼓の繁栄があることを今さらながら実感しました。

 舞台終了後の打ち上げでは、顧問の宮本さんがメンバー一人一人と今日の反省点を検討。単なる慰労会とは異なる、意義ある宴でした。来年は結成25周年の節目でもあり、地域の文化を守るためにもどうかますます頑張ってください。

景山さんたちと

近藤さん・岩石さんと
 帰路は大田市三瓶町にある「三瓶自然館」で、三瓶火山の火山灰に埋もれていた太古の森「三瓶小豆原埋没林」の巨木を見学。およそ4000年前、この地に林立していたという巨大なスギの輪切り標本に、自然の神秘を垣間見た展示館でした。石見銀山天領太鼓会長の近藤さん、事務局の岩石さんには何から何までお世話になりました。ありがとうございました。

さて、このブログも今年はこれが最後になります。一年間、つたない文を読んでくださりどうもありがとうございました。今年は本当にいろいろなことが押し寄せた一年でしたが、どうか来年は良い年になりますよう。皆さんの明年のご健康とご多幸を祈りつつ、本年中のご愛顧に心より御礼を申し上げます。

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2011年12月20日

誰も知らない明日に向かって

二百三高地

このところ、一昨年から年末になるとNHK大河ドラマの後を受けて放映されるドラマ「坂の上の雲」にのめり込んでいます。先週は日露戦争最大の山場であるとなった「203高地の攻防」が描かれ、ロシア軍が占拠していた203高地を陥落させるために満州軍総参謀長である児玉源太郎が乃木希典大将に作戦を進言する場面がありました。このシーンは今から32年ほど前、三船敏郎の明治天皇、丹波哲郎の児玉源太郎という重厚な配役で見た映画の記憶と重なりますが、高橋英樹の児玉源太郎もなかなかどうして、丹波哲郎に勝るとも劣らない貫禄が見事です。

 ところで、この場面で印象的なのが、児玉総参謀長が作戦参謀達に向かって言う「おまえたちは昨日の戦場は知っているが、明日の戦場は知らない」という言葉。これはこの場面に限らず、そして戦場に限らず、現代にもそのまま通用する言葉です。確かに昨日のことはこの目で見たけれど、明日のことは誰にもわからない。その予測不能の明日に対して、我々はどう対処するか。とくに昨今のように先行き不透明な時代、私たちはもう一度この言葉の意味を考えなければならないのではないかと、作者の司馬遼太郎の洞察力をあらためて敬服しているところです。

鼓童30周年
 さて、「明日を知るにはまずこれまでを」ということで、17日の土曜日、鼓童結成30周年スペシャルコンサートと理事会へ。祝賀会ではかつてのメンバーや関係者などなつかしい顔も集まり、久し振りに旧交を温めました。

 翌18日は群馬県藤岡市で「藤岡市民太鼓10周年コンサート」。会場となった藤岡市「みかぼみらい館大ホール」の音響の素晴らしいこと。演奏技術の腕前はもちろんですが、会場を選ぶことがいかに大切かを痛感させられたコンサートでした。

市民太鼓L1000919.JPG

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2011年12月12日

師走、日々是好日

2012カレンダー

 師走に入り、初冬の空気がきりりと引き締まってきた12月2日、私が所属している会で新酒の利き酒会がありました。集まったのは地元の紳士・淑女約80名。冬の北陸の滋味をふんだんに使った酒肴、普段はあまり交流のない異業種の皆さんとの会話、そして何よりも蔵出し絞りたての新酒のうまいこと。ここ白山市は霊峰白山を水源とする清らかな伏流水に恵まれ、県内屈指の酒どころ。この日は銘酒「手取川」で知られる吉田酒造と「天狗舞」の車多酒造の香り高い銘酒の数々が供され、あらためて我がふるさとにある宝に誇りを感じたのでした。

 翌日、まだ少しばかり酔いの残る頭で、長崎の「小浜太鼓保存会」30周年記念コンサートへ。プログラムは4部に分かれ、第1部は子供たちの演奏、第2部は洋楽器とのアンサンブル、第3部には五島列島から「やまねこ太鼓」と「玄界怒濤太鼓」の懐かしい皆さんも登場し、感慨ひとしお。30年前、地図を片手に、単身、長崎から五島列島一帯を営業に走った日々を思い出しました。皆さん、どうかこれからも頑張って、40周年コンサートにも招いてくださるよう待っていますよ。

obama_taiko.jpg

<小浜太鼓保存会>

 その週末、四国の観音寺市から「下組太鼓台」の業天さんがご来社。2年前にお納めした2尺4寸の太鼓が良い音にこなれ、周囲の注目を集めているとのご報告に見えられたのです。この太鼓は我が社が初めて祭り用として胴内に「綾彫り」をほどこした思い出深い太鼓であり、また遠路駆けつけてくださった業天さんの律儀さにも頭が下がり、なにやら心ゆかしい一日となりました。

たいころじい38巻

 さて、財団法人浅野太鼓文化研究所では11月25日に「たいころじい」第38巻を発行。今回は巻頭特集に「木を語る」と題して、木をめぐる座談会を組んで、思いのほかの好評をいただいています。まだお求めでない方は、ぜひお読みいただければ幸いです。

 また浅野太鼓としては今年で3回目の制作となる2012年のカレンダーも完成。もう皆さんのお手元に届いているころでしょうか。今回のテーマは「けやき」で、美しいけやきの写真が皆さんの2012年にお供します。どうかご愛用くださり、来年もご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

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