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2016年2月25日

太鼓の新しいステージにふれた瞬間

 先々週の11日(木)~14日(日)、ブロードウヘイSkirball Centerの「DRUM TAO」の公演を視察。「アメリカ」という異国の地のシアターのシートに座ると、これまでの和太鼓の変遷が懐かしく思い起こされました。

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 1950年代、石川県福井県の温泉郷で「お迎え太鼓」ができその後、長野県で活動していた「御諏訪太鼓」の小口大八さんが初めて「複式復打」とよばれる「組太鼓」を考案したのがきっかけに、北海道「大場一刀の北海太鼓」、東京の「助六太鼓」を始めいくつかの太鼓チームが出現。1964年の東京オリンピックと1970年の大阪万博を経て和太鼓は大きくクーズアップされることになり、そして1970代、佐渡の「鬼太鼓座」により、それまでの「打ち鳴らす太鼓」から「打ち込む太鼓」への大きな転換を果たし、舞台芸能化した太鼓へと成長し、初めてのブロードウェイ進出。さらに「鬼太鼓座」「鼓童」を経て日本で最初の太鼓ソリストとなった林英哲さんの登場。そしてレナード衛藤さんによって太鼓はさらに音楽性を高めると同時に、かつぎ桶という新しい太鼓も出現。そうした環境の中で、プロのチームも続々誕生。近年では歌舞伎俳優で人間国宝の坂東玉三郎さんや舞台演出家の宮本亜門さんなど太鼓以外の分野から芸術監督を迎える機会も。こうした流れの中、私にとってはどのシーンも忘れがたく大切なもの。今、間近で繰り広げられている「TAO」の演奏に歓喜し、多くの観客がスタンディングオベーションしている風景にふれ、また一つ新しい太鼓のステージが生まれた瞬間に立ち会った幸せをかみしめたのでした。

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2016年2月 5日

期待の愛知で新しい太鼓の息吹

 

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 前回の「鼓童×源流」拝見の旅の帰り道、実はもう一つ楽しい舞台と出会った話。大分から飛行機で向かった名古屋で、「辰バンド」結成10周年記念の公演。もともと愛知は、プロの打ち手を目ざす、またはプロとして活躍している若者が多い土地柄。辰バンドも「GONNA」の小林辰哉さんを筆頭に、同じく木村勇介さん、「和太鼓ユニット光」の羽田康次さん、「大治太鼓尾張一座」の若山和之さん、「邦楽ユニットJia」の吉村純一さんと吉村あつみさんの6人が、各自が所属するチームの枠を超えて新しい試みに挑戦しているユニット。それぞれに伝統芸能や地元に根づいた芸能をしっかり学び、その上で新しい太鼓を模索しながら創作したステージは、ワクワクと胸躍るようなノリの良さと、転がるように丸みのある音のなんとも言えない心地良さ。6つのエネルギーが結集し、新しい太鼓音楽が花開くような息吹を肌で感じたひと時でした。

  名古屋といえば、神戸の「和太鼓松村組」を卒業した山田純平さんも西尾市で活動をスタート。ますます今後が楽しみな愛知です。

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2016年2月 2日

一期一会の対決の舞台、鼓童×源流 日本太鼓PREMIUM CONCERT 2016「打つ」

 

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 1月29日、大分市で「豊の国ゆふいん源流太鼓」と「鼓童」による「鼓童×源流日本太鼓PREMIUM CONCERT 2016「打つ」」が開催されました。まったく趣の異なる二つのグループがコラボレーションすることに驚かれた人も多かったかもしれませんが、実は源流代表の長谷川義さんは今から40年前、佐渡で「鬼太鼓座」を立ち上げた田耕さんにメンバーにと誘われた経緯がありながら、そのことを胸に秘めてアマチュアとしての立場で太鼓をつきつめてきた人。一方の鼓童は、鬼太鼓座解散後に残った座員たちによって新たなグループとして結成され、今日まで太鼓のプロフェッショナルとしてひたすら研鑽の道を歩んできた団体。その二つのグループが40年という歳月をへて、今、一つの舞台で対峙するという、なんとも興味深い公演でした。

IMG_1255 欅4尺と3尺5寸.jpg
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 ステージは両グループが交互に持ち曲を演奏するという構成でしたが、どちらのステージの中央にも配されていたのがケヤキの大太鼓。源流は3尺5寸、鼓童は4尺の二つの大太鼓は、実は日光で伐採した1本のケヤキから製作したもので、はからずも同じステージで対面したことも因縁を感じさせる光景でした。

  その演奏はといえば、それぞれが渾身の力をこめて打ち込みながら、源流の密度の濃い猛々しさと、鼓童の端正で緻密な曲の運びが見事な対比を見せ、まさに一期一会の舞台でした。はるばる東京から駆けつけたという観客の一人がふと漏らした「絶対に見逃せない公演だった」との一言が、このステージの模様を象徴していたのではないでしょうか

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   今回の公演で長谷川さんは気持ちの中に一つの区切りをつけたように思います。これからは(公財)日本太鼓財団の副会長として、日本の太鼓文化をどうとりまとめていくのか。難しい舵取りを託された長谷川さんが、次の世代をどう導いていくのか、大いに関心が高まるところです。

 

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