林英哲杯 太鼓楽曲創作コンクール

◎企画主旨 現代日本の太鼓音楽表現を切り拓いて来た第一人者、林英哲が、良質な太鼓音楽を世界へ発信するため、日本の太鼓界初の試みとして、作曲と上演形態を含めた表現全体をひとつの創作作品ととらえる、というかつてない視点で意欲的な創作作品の創造を広く呼び掛け、新たな時代を担う人材の発掘と育成を目指します。

「林英哲杯 太鼓楽曲創作コンクール」について
林英哲

 たった一人の審査による創作太鼓楽曲コンクール、という世にも稀なコンペティションが生まれることになりました。
日本の太鼓楽曲を「創作」する、というようなことは、地域伝統の側から見ればあり得ないことですが、私はこの道を歩き始めた45年前から、ずっと「創作」をしてきました。
 日本各地の地域限定芸能だった太鼓芸を、時代や世界や音楽の視点から見直して、もっと大きく解き放つことができるのではないか、ということを考え、各地で、各芸能を学び実践し、具体的には舞台用の「楽曲をつくり」「演奏する」のがずっと私の仕事でした。
 「楽曲」や「演奏」という言い方も、太鼓を打つ行為の表現としては違和感を持たれ続けた道のりで、現在でもそれはあまり変わっていません。ただ、時代がめぐり、日本の太鼓も世界中に伝わり、表現も玉石混交の繚乱の時代、飽和の時代になり、ではこの先何をすべきか、という時節が到来し、この創作コンクール誕生につながりました。
 お話を頂いた時、単なる打ち比べではない、作品としての表現をどう形にしているか、曲の発想や打法の工夫や、音の選び方や姿勢や肉体訓練や、それらが統合されたまだ見ぬ優れた作品、才能に出会いたい、という思いがわき、お引き受けすることにしました。
 私一人が審査するわけですから、極めて独善的で偏った極私的なコンペティションですが、同調者が少なかったとしても、この場が、私が歩いたように次代を切り拓く者たちへの希望と飛躍の窓となるよう、心を尽くして審査したいと思っています。
意欲ある作品の応募を楽しみに待っています。