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2025年7月26日

問答無用

 ようやく梅雨が明けた7月20日、白山の地には容赦ない陽射しが照りつけ、まさに本格的な夏の到来を告げる一日となった。そんな猛暑の中、「白山国際太鼓エクスタジア2025」が開催され、国内外から多彩な太鼓奏者たちが集い、熱演を繰り広げた。

 開幕を飾ったのは、林英哲と津軽三味線奏者・木乃下真市による《しぶき》。英哲氏のしなやかで力強い打音と、木下氏の鋭く冴えわたる三味線の響きが交差し、一音目から観る者を無言にさせた。“問答無用”――その一打がすでにすべてを語っていた。技巧も理屈も超えて、ただ心が動く。そんな演奏だった。

 その後、舞台はさまざまな表情を見せながら熱を帯びていく。尺八の技巧を前面に出した太鼓座(USA)、土地の名を冠した魂のこもった手取亢龍若鮎組、そして凛とした響きが美しかった和太鼓サスケ:風花と続き、それぞれの団体が個性をぶつけながら舞台に渦を巻き起こした。

 さらに、体の芯を揺さぶるような焱太鼓の躍動、続く座・壱太郎の洗練された構成と鮮やかなリズムが会場を沸かせ、舞台は最高潮へ。最後は林英哲+英哲風雲の会による、<七星>はまさに圧倒的というほかない迫力のステージ。ひと打ちごとに空気が震え、会場は音の重力に引き込まれていった。

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 一打一打が空を突き抜け、観る者の胸の奥深くまで響き渡る。舞台はもはや演奏ではなく、“生きた太鼓そのもの”がそこにいた。汗と熱気と感動が入り混じる中、観客はただ身を任せるしかなかった。

 そんな舞台の音を、じっと見つめる地元の子どもたちの姿があった。プロたちの放つ音の背中から、彼らは何を感じ、何を受け取っただろうか。いまはまだ言葉にならないかもしれない。けれど、その心のどこかに確かに残った“響き”は、やがて音となり、次の世代の舞台へと受け継がれていくはずだ。

 酷暑の白山の空に轟いた、幾千の太鼓の音。それは、理屈ではない。理屈を超えた、命の音だ。だからこそ――
問答無用。

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