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2021年4月 1日

サントリーホールに鳴り響く浅野の太鼓

 去る24日水曜日、東京サントリーホールで「〜癒しのハンドフルートと圧巻の和太鼓の世界〜夢をかなえるコンサート」を鑑賞。これはトヨタ自動車が「コロナ禍において発表の場を失ったアーティストへの場を提供するとりくみ」として、昨年から取り組んでいるプロジェクトの一環。2014年から林幹さんが田川智文さんとともに大太鼓の打ち込みを約1時間にわたって行う「うねり」ライブとして申し込んだところ、採用されたとのこと。共演したのはこれまた異色のデュオで、東京音大を卒業したハンドフルートとピアノの演奏。楽器を使わず、手だけで音を奏でる文字通りのハンドフルートという奏法に驚き、相変わらずの躍動感あふれるうねりの打ち込みに感動しつつ、私は舞台中央に据えられた3尺3寸の浅野太鼓製大太鼓を眺めて、いつしか遠い追憶の世界にただよっていました。

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 あれは私が22歳のころ、「株式会社浅野太鼓楽器店」の前身のそのまた前身の「浅野商店」と名乗っていたころ。工場とは名ばかりの、解体した廃校舎の廃材を集めてなんとか形にした建物にトタンの屋根を葺き、夏にはおもての砂利道から砂ぼこりが舞い込み、冬にはすきまだらけの板壁から雪が吹き込む粗末な土間で、「ああ、なんとかこの貧乏から脱却し、太鼓打ちの誰もが浅野の太鼓を使いたいと、いつか言ってくれるような立派を太鼓をつくりたい!」その一念で来る日も来る日も死にもの狂いで仕事に取り組んだ日々。やがて「太鼓の里構想」を打ち立て、世界の打楽器を展示した「太鼓の里資料館」の設立、店舗と練習場を合わせた「新響館」の建設、気軽に太鼓づくりを見学できる工場の整備、女性だけの太鼓チーム「炎太鼓」の結成、そして太鼓専門誌「たいころじい」の出版。出会いに恵まれ、人に恵まれ、思い立ったことを次々に現実のものとしてきた日々が走馬燈のように脳裏をかけめぐる。そして、もっとも大きな願いだった「浅野の太鼓を一流の奏者に使っていただく」という望みも、1970年にサントリーウイスキーの当時の社長・佐治敬三さんの出資によって「佐渡の國鬼太鼓座」に納品して以来、この日本の音楽の殿堂「サントリーホール」という舞台で、先日の林英哲さんに続き、今また浅野の太鼓が高らかに鳴り響く光栄。思えばいつも「サントリー」というキーワードに励まされ、54年間走り続けて手にしたものの大きさに、あらためて無常の幸福を握りしめたひと時でした。

 

  明日は4月1日令和3年度の始まりで、コロナの終息と社運の発展を願い白山比咩神社に1日参りに参拝予定です。

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2021年3月24日

心ゆさぶられた二つの公演

 

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 去る14日、愛知芸術劇場で山田純平さんの特別公演、40歳を前にして、「山田純平の今をすべて注ぎ込んだ作品」が披露されました。新型コロナの感染予防対策にのっとり、客席は50%に制限されていたものの、満席の観客。太鼓の道を歩み始めて30年、太鼓が面白くて仕方がないという思いが伝わるような、あぶらののりきった打ち込みの姿に目を奪われ、あっという間の3時間。演奏とともに、トークの方も滑舌よく、見事な舞台でした。これからますます楽しみな打ち手の一人です。

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 続いて17日、東京のサントリーホールで林英哲さんのソロ活動50周年記念「独奏の宴−絶世の未来へ」公演。こちらも50%の収容制限の中、これまで見たことがないくらい、日本の主だった太鼓奏者、打楽器奏者、音楽家、評論家、劇場関係者などの皆さんが客席に居並び、どれほど多くの人々が英哲さんを応援・期待しているかを物語るような風景。その空気に応えるように、舞台ではさすが第一人者としての風格と円熟を存分に見せ、まことに誇り高い独奏の宴でした。 
「写真撮影・小熊栄」

 これまでの50年、前例のない太鼓演奏家としての茨の道を一人歩んでこられた英哲さん、本当にお疲れ様でした。そしてこれからも太鼓の世界の先達として、後進に勇気を与え続けてくださることを願っています。

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「写真撮影・小熊栄」          「写真撮影・小熊栄」

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2021年3月22日

赤嶺さん、安らかに

 

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 先般、思いがけない訃報。「鼓童」元団員の赤嶺隆さんが亡くなられたとのこと。赤嶺さんといえば、「シルクドソレイユ」に太鼓を納品することになった際、ラスベガスに同行。流ちょうな英語で交渉ごとを手際よく進めてくださり、帰りに空港で「Yes Wonderful」と別れた相手がにっこり笑って送ってくれた顔が今だに忘れられません。

  今年2月に病巣が発見されたものの、延命治療は望まれず、1ケ月後にご家族に見守られておだやかに旅立ったとのこと。ご家族の皆さんのお力落としはいかばかりかと存じますが、つねに全力で生きた赤嶺さん、どうか安らかにおやすみください。ご冥福を心よりお祈りいたします。

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2021年2月26日

コロナ禍にもめげない創作意欲に感激

 

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 昨年末、神戸でソロ活動を続ける想咲太鼓打ち・溝端健太さんから電話あり、2月にコンサートを開催するので来て欲しいとのお誘い。先日、時満ちて向かった会場には、観客の数5人。聞けばぜひ私に観て欲しかった舞台にて、客席にはわずかの知人のみを招待したとのこと。その言葉に胸を熱くし、こちらも真剣勝負で聴き入った独演は、音色にこだわりきちんとチューニングした太鼓に、バチの工夫や東洋ならではの配色の妙も見てとれ、コロナ禍にもめげない創作意欲を実感。これからも公演活動の縮小や観客制限など厳しい状況はしばらく続くと思われますが、どうかモチベーションを維持して、溝端さんなりの「我が道」を進んで欲しいと願ったひと時でした。

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2021年2月 1日

「鬼太鼓座」「鼓童」と共に

 年が明けたと思ったのもつかのま、あっというまにもう2月。毎月恒例、白山比咩神社の「おついたち参り」は、ことのほかの賑わい。明日は節分、明後日は立春で、農事暦では新たな作物の播種の準備に入る時期。つまり、農耕民族を祖とする日本人にとって、2月こそは新たな営みのスタートの時期。心して、一粒一粒、新たな種を蒔いていきたいものです。

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 さて、一昨日、今年節目の年を迎える二つの太鼓集団の面々が訪ねてくれました。旗挙げから50年を迎える「鬼太鼓座」と40年を迎える「鼓童」です。久し振りにあれこれと昔の思い出話に花を咲かせたひと時、思えば私の太鼓人生52年の間、なんと多くの時間を彼らと共に過ごしてきたことか。その「時間」を今も刻んでいるのが、1975年に3尺8寸の大太鼓の締め直しに鬼太鼓座に同行してボストンへ赴いた際に購入したクオーツの腕時計。当時、テレビでは「ウルトラマン」が大人気で、敵と戦うウルトラマンのパワーが低下すると胸のランプがピコンピコンと赤く点滅するのがお決まりのパターンで、このクオーツの時計も設定した時刻になると赤い点滅を繰り返すのが気に入って大事にしてきた思い出の品。これからも休むことなく私と共に時を刻み続け、そして鬼太鼓座も鼓童も、これからも自分たちの芸をしっかり磨いていって欲しいと、切に願った睦月の月末でした。

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鼓童のみなさんと           鬼太鼓座のみなさんと

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2021年1月22日

74歳になりました。

 

 1月21日、私の74歳の誕生日。長く悪天候がつづいた空が今朝は幸運にも雲が晴れ、輝くばかりの日の出を仰ぎながら、これまで73年間、大過なく無事に過ごせたことを感謝した早朝でした。

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 たまたま昨日目にした日経ビジネスにユニクロ社長柳井正氏の記事が載っており、25歳の時に親から実印を渡され、会社継承の決意を新たにしたとのこと。私も同じく25歳で父から実印と通帳(マイナスの)を受け取り、当時、皮を扱う仕事といえばまだ同和問題がついて回った時代、社会の偏見を跳ね返そうと、今日までただひたすら走り続けてきた54年。その過程で「太鼓の里構想」を打ち立て、世界に浅野太鼓の存在を知って貰う、浅野太鼓にくれば太鼓に関することはすべてわかる施設づくりをはじめ、どのような注文にも対応するための設備投資、本張り用革圧縮機、全自動バチ加工機、レオさんと始めた担ぎ桶の胴作りの自動化はじめ、短納期で大量の製品を納品する乾燥機等、何処の同業社にもない4次元の中堀化工機の諸設備、在庫備蓄と管理態勢づくりなど、将来を見据えた経営戦略に心を砕いてきました。そうして昨年、万全の態勢で浅野太鼓を次の世代にバトンタッチしたもののコロナ禍の中 
現実はあれやこれやと頭の痛いこと、、、、、、、、

 まあ、ともかく今日は私の誕生日を知る人が朝から次々に訪ねてくれ(中には三重県からも)、お祝いの言葉やお品をいただいたことが何よりも嬉しい一日となりました。皆さん、ありがとうございました。

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2021年1月 8日

『無』の気持ちで

 あけましておめでとうございます。

 旧年中は大変お世話になり、ありがとうございました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。そして今年こそ良い一年となりますよう、心から願うばかりです。

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 私事ですが、毎年、年頭に、一年を貫く言葉を掲げています。今年の言葉は「無」。一年365日、心穏やかならざる出来事は日々絶えることはありませんが、それでも事に当たるについて、自身に偽ることなく、忖度なく、つねにまっすぐな無の気持ちでこの一年を過ごしたいものです。

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2020年12月23日

令和2年、師走にあたり

 

 今年も残すところあと1週間。令和2年最後のプログです。

 この一年を振り返ってみると、年頭は良い一年になることを願って神前に手を合わせたのもつかのま、2月には新型コロナ上陸の報に騒然。しかし、まもなく治まるだろうと楽観しながらも3月、4月、5月と感染は拡大する一方。そしていつのまにか酷暑の夏も終わって9月、10月になろうと、いっこうにおさまる気配なく、この師走にはまさにこれまでにない感染拡大の新記録更新中。この一年、コロナ禍によってどれほど多くの人が打撃を受け、公演やイベントは軒並み中止となり、経済活動は不振、さまざまな場面で暗いニュースが語られ、新年に向かう気持ちもつい不安になりがちな今日このごろです。

 しかし、人として、生きるよりどころとして、「希望」をもつことはとても大切です。言い古された言葉ですが、「明けない夜はない」のです。いつかきっと治まると念じつつ、明るく前向きで豊かな気持ちをもって、来年こそは良い一年となるよう祈るばかりです。

 皆さんも、どうか顔を上げて、良い年末年始をお過ごしください。

 今年一年、どうもありがとうございました。新年もまた、どうぞよろしくお願いいたします。

 

下記の写真は京都大徳寺へ太鼓の下見に行った折り、撮影したものです。

ご丁寧にご案内頂き、ありがとうございました。

 

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2020年12月16日

「ただ者でない」太鼓打ち

 先週末、伊勢神宮内宮周辺で第18回「神恩感謝日本太鼓祭」が開催されました。12日は神宮の神楽殿において奉納演奏、13日はおなじみ五十鈴川河川敷の特設舞台において、石川県の「御陣乗太鼓」を含めて5団体が演奏。コロナ禍の中での開催について、事務局としては万全の感染予防対策を尽くした上での実施でしたが、いかなる状況になろうとも一つのイベントを継続することの難しさを場で感じた二日間でした。

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 こうした中、出演団体も久し振りの舞台に全身のエネルギーをぶつけているようでしたが、ことに大分の「豊の国ゆふいん源流太鼓」の長谷川義さんの「気」を発する姿は目を奪うばかり。1985年に初めて長谷川さんの舞台を見て以来、一瞬も手抜きすることなくバチを振るう所作に「ただ者でない」個性と、打ち姿の向こうにある、生きざまのすさまじさを感じ、現在まで源流太鼓の芯柱として輝き続ける姿に、尊敬の念が深まるばかり。40数年のおつきあいの中では、いろいろと行き違いもあったりしましたが、今は素直に長谷川さんの偉大さを心から称賛できます。どうかこれからもその個性のままに太鼓とともに生きていってほしいものです。

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2020年12月 3日

盛況のうちにWTCを終了

 今日からいよいよ12月(師走)

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 地元白山市にある白山比咩神社へ、今年最後の月参りに一年間の無事祈願成就のお礼参りに行って来ました。

  今年も残すところあと1ケ月となりました。私の人生の中で、今年はとりわけ思うことの多い年でしたが、そんなことも何もかも飲み込んで、2020年の最後の1ケ月の一日一日を大切に送ろうと思います。

 さて、微力ながら顧問としてかかわらせていただいた「WTC」(世界太鼓カンファレンス)を、去る21日から23日までリモートで開催しました。コロナがなければ世界中から太鼓を愛する人々が集まり、コンサートやワークショツプ、シンポジウムなど多彩な企画を実施する予定でしたが、リモートとはいえ思いがけないほど世界中からビデオ投稿やYouTubeで演奏が寄せられ、それはそれでなかなか盛況なカンファレンスとなりました。中には「こんな太鼓アリ?」と首をかしげるような映像や、「もっとこうした方が良いのでは?」とアドバイスをしたくなる太鼓もあり、表現の多様さにあらためて驚かされた場面もありました。

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 しかしながら、コロナの感染拡大によって、人と人とのコミュニケーションのあり方をはじめ、個々人の表現手法や、価値観の変化など、コロナ以前の社会から明らかに変化している社会情勢を肌で感じる良い機会でもありました。さらにこれからどんな社会になっていくのか、予想もつきませんが、この機会に世界中の太鼓を愛する人々が一つになって、共通の太鼓のセオリーを共有し得る可能性もあるのではないでしょうか。表革から裏革に打ち抜くような太鼓本来の打法、小手先でなく人の心をゾクゾクさせるような太鼓を打つ行為を、世界中の人に体感していただきたい。そのためにはどうしたらいいか、ぜひ模索したいところです。

 何はともあれ、一年以上の時間をかけて準備に力を尽くしたスタッフの皆さん、本当にお疲れさまでした!

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