2023年9月 8日
大田原市「与一太鼓」の創立30周年おめでとうございます
去る2日、栃木県大田原市で活動されている「与一太鼓」の創立30周年記念公演へ。久し振りに聴く与一太鼓の演奏はさすが40年の深みを感じさせる奥行きがあり、祭り太鼓には笙や龍笛も取り入れて格調高く、一方、現代音楽作曲家の藤田正典先生に依頼した創作曲は今なお斬新さを感じさせ、しばし太鼓の調べに聴き惚れたひと時でした。
藤田先生といえば、亡き小口大八さんの代表曲「汎神」を、石井眞木先生の「モノクローム」より先に作曲された新進気鋭の作曲家で、2009年に63歳で逝去されるまで和太鼓に暖かいまなざしを注いでくださった恩人です。あらためて偉大なご恩に深謝。
それにしても与一太鼓は、40年の間に着実にメンバーのバトンタッチを繰り返し、創立当時のメンバーからその子らへ、そして今はお孫さんたちの世代がレパートリーを受け継いでいる姿に拍手喝采。

翌日は、沖縄から茂木仁史学術博士ご来館、11月4日の国民文化祭「和太鼓シンポジュウム 次世代に太鼓の歴史と文化をつなぐ」の打ち合わせ、そして翌日はアメリカ、フロリダ州のディズニーワールド日本館でご活躍の「MATURIZA祭座」石倉武政さんご来館。最新のアメリカの太鼓事情などに花が咲き、実り多い再会となりました。どうかますますのご活躍を!(関連記事*太鼓の泉通信浅野昭利ブログ2011年6月23日)
2023年7月21日
US.ASANOの成長ぶりと、エンゼルス大谷選手の35号ホームランに大興奮

長男の勝二、ジュリア夫婦の強い意志で、USAカリフォルニア州トーランス市にUS.ASANOを設立したのが2013年7月。今年は10周年にあたり、16日から「EXTASIA in LA」と題して記念劇場での公演(1500人収容)とワークショップ(Asano Taiko US道場)等を5日間にわたり開催。私も焱太鼓や津村明男さん率いる三宅島芸能同志会の皆さんとともに、イベント参加を兼ねてお祝いに駆けつけました。劇場公演は、三宅島同志会をはじめ、日本三宅同志会の十数名の皆さん、全米三宅会の皆さん、豪州三宅会の綱沢伸一郎・綾子さん、田中誠一さんとサンフランシスコ太鼓道場、ニューヨークの僧太鼓とアラン岡田さん、そして焱太鼓、ASANO TAIKO USで育てた太鼓チーム「ユニット1」、「ユニット2」、「ユニット3」が出演し、予想以上の大盛況。アルゼンチンのガストンさんや神谷唯さんなど応援フタッフのお力もいただき、無事終了しました。なお協賛協力くださった方々に心より感謝いたします。
これまでの10年をかけて、ASANO TAIKO USもようやくトーランスの地にしっかり根を下ろしたことを実感。イベント終了後に出演者や地元の教室の皆さんが参加した意見交換会でも活発な意見が寄せられ、ASANO TAIKO US代表の勝二の成長に安堵したひと時でした。世界中から集まった太鼓衆に、あらためて心より感謝申し上げます。
翌日はアナハイムで、エンゼルス大谷選手が出場したヤンキース戦を観戦。ナマで目にした7回35号2ランホームランに大興奮し、さらに思い出深い旅となったアメリカ紀行でした。
2023年7月 7日
新聞記事で晴れやかな心地に

陶芸の盛んな石川県ではありますが、ことに茶陶に先鋭化しているのが、金沢市に窯を持つ大樋焼。現当主は十一代大樋長左衛門氏。先般、優れた芸術活動を表彰する第79回日本芸術院賞に選ばれ、今月3日、東京上野の日本芸術会館の授賞式に出席されたとの記事が当地の新聞に掲載されました。
長左衛門氏とは1999年の財団法人浅野太鼓文化研究所設立時から理事に就任していただき、以来、まことに長いおつきあい。陶芸のみならず、造形やデザインにも才を発揮され、また金沢の文化向上に関わる会議でも一家言を有しておられる多彩な人物。氏のご活躍を見聞するたび、私も少なからず元気をいただいている間柄です。
(1997年 浅野-EX 「UCHIDA HIGERU OHI TOSHIO」にて)
新聞記事によれば、授章式では天皇・皇后両陛下から祝福を受けられ、10月から石川県で開催される国民文化祭について「楽しみにしています」と笑顔をいただいたとのこと。両陛下と談笑している写真も掲載され、人ごとながら、私自身の慶事のように嬉しい気持ちで拝見した記事でした。大樋さん、まことにおめでとうございました。
2023年6月22日
梅雨の合間に懐かしい思い出

梅雨にふさわしくじとじと雨が降るかと思えば、翌日は真夏のような酷暑。なんとも予想がつかない、このところの天気です。そうした中、4日には川越で「小江戸川越和太鼓響20周年記念公演」を観覧。20年の歴史を集約した思い出深い場面とともに、同じく観覧においでた懐かしい皆さんとも、久し振りに旧交を温めた一幕でした。三木会長さん、これからも頑張って、25周年、30周年の舞台をまた見せてください。楽しみにしています。
(画家 乾敏夫さん作)

さて、今日は故あり、少しばかり書類棚の整理。懐かしい写真や図面写真(財団撮影)の数々。25年ほど前まで木工場で太鼓台の製作に従事していた「宮本のお父」が引いた台や御所車の図面写真、「御諏訪太鼓」小口大八さんから注文をいただいた関東台の写真には「小口大八」と横判の文字がくっきり。宇崎竜童さんに納めた四本柱台(林英哲氏設計)の図面写真、鬼太鼓座の田耕さんが亡くなる1週間前、直径3尺8寸(約1.15m)のケヤキ大太鼓の革面に描いた馬の絵の下絵など、宝物が続々。いつの間にか捜し物の手を休めて往事の思い出にひたり、心まで梅雨の合間の晴れ間を満喫したひとときでした。
2023年6月 1日
楽しみながら現場で汗
ここしばらく慌ただしい毎日が続き、ふと気がつけば5月も今日で終わり。なんとしたことか! 時の過ぎゆく早さに驚くばかり。

そういえば近ごろの太鼓界の様子は、コンサートに足を運ぶよりも、インスタグラムやSNSで情報を得るのが主流とか。その手っ取り早さは、まさに時代の流れ。だが、いったん田園風景に目をやれば、つい先日田植えを終えたばかりの苗が、しっかりと大地を踏みしめて着実に成長している。いかにもシンプルで愚直だが、人生、まさにこうありたいもの。私もシンプルに、今は太鼓職人の原点に返り、日々、革の張り替えに力を入れている。依頼を受ければ、頼られているという実感があり、楽しみながら現場で汗を流している。いささか筋力は衰えたが、もうしばらくは楽しませていただこうと思っている。
またお知らせがあります。

6月4日に小江戸川越和太鼓響さんの20周年記念公演「祝祭の慶び」があります。会場はウエスタ川越大ホールで、12時開演です。私もそこに参加していますので、お見かけしましたらぜひ声かけてください。
2023年4月21日
雨にもめげず盛況だった成田太鼓祭

去る15・16の両日、千葉県成田市の成田山新勝寺境内と、表参道一帯を舞台に、今年も「成田太鼓祭」が開催されました。初日はあいにくの雨で、楽しみにしていた新勝寺大本堂前での夜舞台は体育館に会場を移しての公演となりましたが、あらためて「太鼓っていいなあ」と、しみじみ感じ入ったものでした。というのも、「鼓童」と、相対する「三宅島芸能同志会」の合同で、祭の音をテーマにした音作りで、佐渡島で合宿をした成果が十二分に表現されていました。おもて革から裏革に抜けるすさまじい打ち込みが日頃の鍛錬の激しさを物語り「太鼓とは、まさにこういうもの」とばかりに、ぐいぐいと胸に迫ってきました。本当に最高の舞台。実はこのところ、どうも太鼓が本来とは違う方向に進みつつあるような思いがしていたこともあり、太鼓を打つという行為に真正面から向き合わせてくれた両チームのおかげで、何かほっとする思いにひたったひと時でした。

翌日は雨も上がり、本堂前での賑やかな揃い打ちから幕を開けた一日。あちこちから聞こえる太鼓の響きに祭りの活気を感じながら、祭りを仕掛けた人々、その仕掛けに乗って太鼓を響かせたたくさんの出演者の皆さん、そして二日の間忙しく走り回ったスタッフの皆さん、本当にお疲れ様でした。また来年も、楽しみにしています。どうぞよろしくお願いいたします。
2023年1月25日
明神先生と一響館の末永いご発展を願って
去る21日土曜日、高知市の土佐和太鼓文化研究所「一響館」が主催する太鼓でコミュニティ合同学習・発表会(第16回)にお招きをいただきました。稽古のあとに5チームの発表会と模範演奏があり、今から15〜16年前の第1回の時に小学生だった参加者が、今は28歳の素敵な女性となって企画・演奏と、立派に成長した姿を見せてくれました。ほかにも自然な所作で太鼓に向かう子供たちの姿に胸を打たれ、これからも一響館の発展を願わずにはいられませんでした。
その一響館の主宰者である明神宏和先生は、御年、なんと96歳。この日もお元気で矍鑠と講話をされ、はつらつとしたお姿に驚くばかり。実は私もこの日76歳を迎えた身ですが、20歳も年上の先生の元気にあやかれるよう、これからも頑張ろうと、勇気づけられた一日でした。

ちなみに、高知へは愛車で往復。明石海峡大橋のたもとで迎えた21日朝の日の出は神々しいばかりの美しさ。このような晴れ晴れとした日に誕生日を迎えられたことが有り難く、おもわず感謝の合掌。(写真右: 淡路島で日の出を拝む)

なお、誕生日にあたり、メールなどでお祝いのメッセージをくださったたくさんの皆さん、どうもありがとうございました。引き続き精進してまいりますので、よろしくお願いいたします。
2023年1月14日
2023年年頭 本年もどうぞよろしくお願いいたします
謹賀新年
新しい一年が始まりました。今年の干支は兎で、飛躍や跳躍が叶う縁起の良い年といわれています。願わくばぜひそうありたいものですが、人生、生きている限り憂いや悩みはつきもの。しかしどんな困難に対峙しても、決してひるまず、眦を決して果敢にこの一年を生きていきたいものです。
どうか引き続き、皆様のご指導とご愛顧をよろしくお願い申し上げます。
2022年12月28日
行く年来る年、来る年に新たな希望を!

2022年も残すところあと三日となりました。振り返ればあれこれと多難な一年でしたが、周囲の皆さんの助けもいただきながら、なんとか乗り切ることができました。ありがとうございました。
さて、この一年、次第にwithコロナの風潮が浸透し、各地でぼちぼちと太鼓コンサートが再開されるようになりました。私もいくつかの会場に足を運んで久し振りの音響にワクワクしつつ、コロナ以前にくらべて若い打ち手の皆さんがいろんな仕掛けを演奏の中に取り入れていることを実感しました。それは洋楽的なリズムであったり、メロディー楽器の多用であったり、振り付けの斬新さであったりと、要素はいろいろありますが、どうも太鼓が主役でなくなり、「音楽の中の一つの楽器」という位置づけになろうとしているような・・・。
そんな思いが、新しい年の中でどんな風景を見せてくれるか、とにかく楽しみに期待することにしましょう。

そしてこの一年、何よりも嬉しかったのは、林英哲さんの二つの受章! 「福岡アジア文化賞」の大賞と、秋の叙勲による「旭日小綬章」。去る22日、福岡市で行われた福岡アジア文化賞の受賞式には秋篠宮殿下ご夫妻もご来臨され、会場の一隅に列席させていただいた私も感無量。英哲さんの栄誉を心から祝福するとともに、太鼓の文化が広く世界に認められた事実に胸を熱くしました。こうした慶事に触発され、来る年には英哲さんに続く若い奏者の出現を期待するばかりです。
皆さんもどうか佳い年末年始を過ごされ、来る年に幸多かれと祈念しています。
2022年12月 2日
加藤拓三さん、ガンバレ!
今日から師走。ここ白山の麓も今朝は朝からどんよりと曇り、今にも霙が落ちてきそうな気配。そんな中、嬉しいラインニースの到来。岐阜県恵那市を拠点にしていた加藤拓三さんが、10月に子供たちとお母さんも含めた家族5人で渡米。永住権を得て、アメリカ全土50州1000カ所で演奏することを目標に現地での活動のようすです。
日本でもそうだったように、上手に人と人をつなぎ、演奏場所と宿泊所をみつけ、太鼓を仲立ちに現地の人とコミュニケーションを重ねる姿は、きっと三人の子供たちにも良い影響を及ぼすと予想。世界中に太鼓奏者はたくさんいるが、このようなアグレッシブな人物もいることが嬉しく、遠く白山麓の地より静かに見守っていこうと思います。