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2007年11月18日

三ツ打ちの名手、玉さんを悼む


 去る15日、福井県今立町で「越前権兵衛太鼓」を名乗って永く太鼓を打ってきた「玉さん」こと玉村武翁の訃報が届きました。福井に伝わる三ツ打ちの伝承に情熱をそそぎ、三ツ打ちを基本とした早打ち、合わせ打ちに絶妙な技の冴えを見せ、さらには六四、七三、五分五分、一束桴、十四日太鼓など独特の打法を編み出した玉さんは、どんな太鼓も自由に手なづける手品師のようでした。打ち込みと間のとり方に天性の素養を感じさせ、そのひょうきんな人柄も相まって、玉さんは多くの人に慕われました。

 私も玉さんとの間には、たくさんの思い出があります。北陸の太鼓屋が全国区になるには、まず全国の祭り太鼓の音を聞けと、日本中のお祭りを訪ねて一緒に旅しましたね。北海道、東北、四国、長崎、三宅島。どの風景を思い出しても、その中にいたずら好きでおどけた玉さんの笑顔があります。それから太鼓を打つ時の強弱や間のとり方をドンドコの図面に書いてわかりやすく指導する方法を教えてくれたこと、母親を大事にせいと説教されたこと、男の甲斐性とは何たるかを伝授してくれたこと、どの場面も昨日のことのように脳裏に浮かびます。
 ことに平成9年、「越前権兵衛太鼓」と加賀の「加賀太鼓」のメンバーにより「不老太鼓」と名づけた混成チームを結成し、国立劇場「日本の太鼓」に出演して三ツ打ちの神髄を披露してくれた姿は今も忘れることができません。

 病に伏して2年半。老いた姿を見せたくないと、一切の面会を拒み続けた玉さん。本当にご苦労様でした。そしてありがとうございました。
 享年79歳。どうぞゆっくりやすんでください。  合掌。

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